そのアトリエは溺愛の檻
行きつけのお店で、美容師さんが何度も「本当に切ってもいいの?」と尋ねてくる。今まで彼女に勧められても私は髪を短くすることはなかったし、綺麗な髪を保つためにシャンプーやトリートメントにも気を遣っていた。それよく知っているからこそ、こんなに一気に切ることが不思議だったらしい。
「いいんです。気の迷いとかじゃなくて、短くしないといけなんです」
そう言うと、了承したように「可愛くするね。腕がなるなぁ」と笑顔を見せてくれた。
ゆっくりと髪にはさみを入れていく。ジョキ、ジョキという音と共に、切られた髪がさらさらと床の上に落ちるのが見えた。今まで自分の一部だったものが、ただの物質として目に映る。
悲しくて、やるせなくて、胸が痛い。だけど、こうする以外の方法を思いつかない。
楽しかった思い出を守るにはこれしかないんだと言い聞かせるしかなかった。
「いいんです。気の迷いとかじゃなくて、短くしないといけなんです」
そう言うと、了承したように「可愛くするね。腕がなるなぁ」と笑顔を見せてくれた。
ゆっくりと髪にはさみを入れていく。ジョキ、ジョキという音と共に、切られた髪がさらさらと床の上に落ちるのが見えた。今まで自分の一部だったものが、ただの物質として目に映る。
悲しくて、やるせなくて、胸が痛い。だけど、こうする以外の方法を思いつかない。
楽しかった思い出を守るにはこれしかないんだと言い聞かせるしかなかった。