【短】うさぎとピアスとチョコレート


 甘いものが苦手なはずの大我(たいが)が、そんなことを言うなんて。

 明日の天気は嵐か……?


「どーせ食べる気ないクセに。冷やかし?」
「せっかく俺が顔みにきてあげたのに」


 退屈そうな大我。
 さっきから欠伸ばかりしていて、そのたびにわたしはつられて欠伸をする。


「眠いなら帰れば……?」


 わたしがキッチンに立って作業してるのを、お酒を飲みながらダイニングの椅子にかけてぼんやりと眺めている。


 アルコール飲料を片手に持っていたり。
 耳にピアスがついていたり。

 中学から急激に伸びた、すらりと高い背だってそう。

 大我はどんどん変わっていく。
 すっかり大人の男になってしまった。

 それも……とんでもなく、色男に。
 

「痛くなかったの?」

「なにが」

「ピアス」

「痛そう?」

「……うん」


 通っているのはリングのピアス。
 それも、耳の高い位置に。


 ああいう輪っかのものって、どこかに引っ掛けて、ちぎれてしまいそう……。


「わたしこの前初めてコンタクトつけるだけでも怖かったのに」

「子供だね。うさぎは」

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