ＡＲＲＩＡ
砂煙の巻き上がる音。

双頭のバクが街を駆ける音。

甲冑が重なり合う音。



期待と緊張に重々しさを加え、幾つもの音と共に六人のヒジュラが来た。



数日前と同じ、街で獰猛なシキ獣が暴れた時と同じ位の人数。

「胸を張りなさい。向こうでは失礼の無い様にね」


こんなに大きなバクは初めて見た。
特に後方のバクは四、五人が座れそうな目張りされた荷台を引いているのに関わらず、ヒジュラが何か命じるとすぐ様大人しくその場に座り込んだ。

四頭のバクがアジリからの距離を走って来た興奮をそのままに座り込んだのを確認すると、長らしきヒジュラが駆け寄って来た。


「騒がしくてすいません。では参りましょうか。夕刻程にまたこちらにお送り致します」

顎を髭で埋めた褐色の大きい身体。
いかにもアーリアを守る烈士といった風貌だ。



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