ARRIA
「余り身を乗り出すと危ないですよ」



ヒジュラはあたしを制しつつ、けれどもあたしと同じ様に乗り口から顔を草原に向けた。
あたしは初めて意識して同席しているヒジュラを見た。


とても優しそうな顔をしている。
まだ若そうとは思っていたけどあたしと同じ位にも見えるしシータと同じ年位にも見える。
近い年頃の男の人は余り知らないから難しそうな気がして、何となくこのヒジュラを敬遠していたのかもしれない。

「あ…すいません」
「余り緊張しないで下さい。僕はあなたより三つしか違わないしヒジュラの経験も浅い。こんな格好しているだけで、街にいる若者と何も変わりません」


そう言って甲冑をコンコンと叩きながら微笑んだ顔はやっぱり年下に見えて何だかあたしも笑ってしまう。

「ああ良かった。アジリや街にも同じ年頃の女性の知り合いがいなくてどう接したら良いのか解らなくて…」

ヒジュラといっても色んな人がいる。
でもこの人はきっとあたしと同じなんだ。




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