ARRIA
ヒジュラは気にせずに答えてくれたのであたしはほっとした。

失礼な娘と思われずに良かった。


「そうなんですか…。アジリの警備といっても誰から守るのでしょう。街の者でも勝手に立ち入ろうとする者もいないでしょう」


今度は一度、自分の中で反芻して言葉を選んだ。



「そうなんですよ…人どころか野の獣だって入り込まないのです。だけど毎日何かに備えて日がな本殿を歩き回るのです」

大げさに手を広げて拗ねた様に話すその印象は、本当に今までの近寄りがたいヒジュラのそれとはまるで違った。




< 16 / 71 >

この作品をシェア

pagetop