ARRIA
「けれどアジリには誰しもが憧れを持っています。あたしは…許されるならアジリにしか無い本が読みたいです。人生で一度だけで良いのです」



あたしは思い切ってワガママを言ってみた。
この人なら聞いてくれそうな気がした。

「それ位の事なら…きっとできると思います。あなたの父上にもきっと会える様に掛け合ってみましょう。本当にすごい方なのです」



今日はなんて素晴らしい日なんだろう。


草原の向こうには光が満ちていたんだ。


「ありがとうございます、本当に嬉しいです。アジリには街に無い全ての夢がある様な気がします」


「どうでしょう…たまに街が恋しくなる事もありますよ。育った家での生活とイシカ神に自分の名前を捧げる代償を考えれば…何ともいえませんけどね」



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