ARRIA
そうして選ばれた十五歳の巫女をググニ神に捧げる事で、二百年に一度の破滅を回避してきたアーリアには千年の文明がある。


「でも何であたしなんだろう。お父さんがアジュラだから?」



「あんたの父親はアジリでも最上位の一人だから関係無い事は無いかもしれないが、選ばれたのはアンタだ。誇りに思わないと。明日アジリに行くんだろう?会えるといいね」




崖下に建つジッタおばあちゃんの家の軒先にある、湧き水を湛える桶にそっと手を浸してみた。

冷たさと透明さが指先から伝わる。

思い切り顔から突っ込んでみるとそれは全身に伝わり、羽根が生えた様な気持ちになった。


< 4 / 71 >

この作品をシェア

pagetop