ARRIA
小さな兄妹はあたしの日常の変化に得体の知れない恐怖を感じた。


アジリの最高位はあたしの命を街の糧にした。


若いヒジュラはあたしの運命に憐れみを覚えた。


あの優しい笑顔が頭に浮かび、そして消えた。


涙が溢れ出した。


あたしは死ぬ。
もうすぐ死ぬ。
どうやって死ぬのだろう。
槍を刺されて死ぬのだろうか。

怖い。涙が止まらない。



水。子供。草原。笑顔。風。像。炎。祭壇。地下。背中。扉。本。弟。月。


色々な光景が浮かんでは次々と消えていく。



怖い。あたしもきっと同じ様に消える。壁の向こうではまだ人の声が響きあっているのに誰もあたしに気づいていない。


死にたくない。



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