ARRIA
見ているとそれだけで飲み込まれそうな既視感。あたしはここを知っている。

急に体が熱くなり、涙が一筋流れた。


涙は風にさらわれて白い波に落ちた。


波は寄せては引き、あたしの想いが凝縮された、たった一滴の涙はやがて地平の果てへ溶けていった。



きっとこうやってあたしの体も、動かなくなっても緩やかに大地に収斂されていくのだろう。


あたしの魂はそのまま消えてなくなるのだろうか。

きっとそうはならない。

きっと。



砂浜に集まっていた鳥達が一斉に海の果てへ飛び立っていった。




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