ARRIA
これ以上は考えても仕方ない。

自分のこれからよりも弟や母さんに気を回す余裕があった事が少し意外だった。

家族、信仰、街。
きっとそういった形が見えるものの為にあたしは死ぬのではない。

アジリの教えは結局アーリアが始まった経緯を、どういう意図かは解らないけれど、ただ大きく伝播しているだけの様に思う。

きっと二百年に一度の地震なんてほっといても起きない。


街は信仰に縋って閉ざされた小さな世界に終始した。教えがある限り誰も海の外どころかシデンの丘を越える事すら無いだろう。



それはとてもつまらない事だし何の夢も無い。


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