ＡＲＲＩＡ

本殿までもう目の前の所で、ヒジュラ達が一斉に低い声で唄を歌いだした。




何度も聞いたこの唄。思わずあたしは振り返ってしまった。



ヒジュラの唄はどこまでも響きそうな大きな声で、あたしに向けて歌われている。

それは街に溢れている唄で、儀式の時や誕生を祝う時、狩りに出る時などあらゆる時に誰かに対して歌われる。
あたしがこの重々し過ぎる一本道を歩き抜く事を祈り、祝うとゆう事か。


あたしが夢で何度も聞いた旋律と少し似ている気がする。



立ち止まっていると更に唄声は大きくなった。



そんな心配されなくてもあたしは逃げないし歩ききってみせる。





唄に押されてあたしはついにアジリの口の中へ最後の一歩を踏み込んだ。