ＡＲＲＩＡ
あたしが眠ると世界はただ沈黙した。
あたしは見た事の無い景色に立っている。


赤青紫黄色の花がどこまでも敷き詰められている。



遙か彼方に緑の葉で埋め尽くされたとても巨大な樹が聳えているのが見えた。



けれどあたしはそこまで行くまでならないのか、その場に倒れ込んだ。




あたしは空を見ている。


澄み渡る青。


遙か上空では細長い長い煙を吐き続けながら空を飛ぶ鳥が見える。


煙はどこまでも一本の線で続いている。あの煙の上をあるけばきっとどこまでも歩いていけるのに。そう思うと何だかおかしくなってあたしは笑ってしまった。



巨大な樹の方からあたしを呼ぶ声がする。


何人もの声。



ふいに誰かがあたしに手を差し出してきた。
逆光で良く見えないけれど優しい男の人の手。
見えなくても誰か解る。優しい微笑み。



あたしはその手に引かれ、強く握り合ったまま声が呼ぶ方へ駆け出して行った。








そこで気が付く。

名を呼ばれて駆けて行った、あたしを見ているあたしは一体誰なんだろう。





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