くノ一です!
その席に男はただ座っていた。顔に覆面をした忍者のコスプレをした男。しかし、この男はそこらの人間とは違ってオタクという雰囲気ではない。だからこそ、この店では不審人物にみられるのだ。得体の知れない者、人は得体の知れない者に恐怖を抱くというっ・・・。

「お待たせしましたー!華音でーす!いつも私を指名してありがとうございます」

そう言って女は俺の前に座る。

「玄之介さんが来るのを待っていました。今日も私の悩み聞いてくれますか?」

上目遣いな娘を見て俺は「ドキッ」となるが、俺は冷静を装う。本心ではドッキドキだがな。

「いや、その前に俺の話を先に聞いてくれないか?大事な話なんだ。」

「えっ?」と言って娘は不安そうな顔をする。

「い、良いですよ。いつも私の話を聞いてくれてますもんね。今日は私が聞く番です!」

ああ、この娘はなんて可愛い女の子・・・いや、天使なのだろうか・・・。この性格なら、甲賀の忍びとしてやっていけるな。

「狩村華音、君を甲賀の忍者としてスカウトしたい。」

「へっ!?」と驚く娘。

「甲賀の忍者ですか?忍者って絶滅したんじゃないんですか?」

予想通りの動揺である。

「絶滅なんてしていないさ。昔の忍者達の子孫が細々とと活動している。だが、それでも最近は忍者がダサいとか言って里を抜ける奴が多くてな。人が足らないんだ。」

「え、えっと・・・とても嬉しいんですけど、私みたいな痛い娘が忍者になって良いんですか?」

俺は動揺する娘を見て「フッ」と言う。

「君の事は毎週の様に話していたし、日常生活も観察させてもらったからよく知っているさ。運動神経が悪く周りから痛い娘扱いされて、遊ぶ友達がいなくて毎日家で勉強ばかり。しかし、それでも挫けずに忍者になりたいと言う君の熱意が欲しい。君は情熱だけなら本職の忍者より大きく上回っているさ。」


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