この人、委員会の先輩でした。
「え、誰が?」


「あ、えっと...」


ここは正直に言っていいのかな。


「先輩がですよ。

私なんかを傘とかに入れさせてくれたり、電車もわざわざ先に乗り降りさせてくれたり、優しいなぁって」


先輩の顔を伺おうと下げていた目線を上げてみると昨日と同じように顔を隠していた。


「先輩、それ、照れ隠しの癖ですか?」


「電車の中で言わないでくれる?」


「誰も私たちのことなんか気にしてないから大丈夫です」


あ、あと二駅だ。


先輩も私の最寄りが近づいてるのが気づいたのか落ち着いた顔を見せる。

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