ロベタサード

津田君と富田さん



数学は苦手だ。


xとかyとかよくわからない。


√って何?



苦手教科はたくさんあるけど数学が1番だめ。



まさに今、あたしは困っている。



机の上には提出期限が今日までのプリントがある。


今は放課後。





「……ムリだよ。」





投げ出したくなる気持ちを抑えて教科書とにらめっこ。








「何してんの?」



突然の声に顔を上げる。



「津田…君?」




津田はあたしの机を見る。



「あっ、それ提出期限今日だよね。」




「…うん。」




知ってますよ。でも、間に合わないんだよ。わかんないんだよ。




「わかんないの?」



津田君の声に頷く。







「………教えてあげようか?」



「えっ!?」




ビックリするのも束の間、津田は椅子に座ってあたしと向き合う。




近いよ。声がすぐ近くで聞こえる。













津田君は教え方がすごく上手くてわかりやすかった。




でも、プリントが完成するまであたしの心臓はうるさく、潰れそうだったのは言うまでもない。
< 19 / 26 >

この作品をシェア

pagetop