ロベタサード
津田君と富田さん
数学は苦手だ。
xとかyとかよくわからない。
√って何?
苦手教科はたくさんあるけど数学が1番だめ。
まさに今、あたしは困っている。
机の上には提出期限が今日までのプリントがある。
今は放課後。
「……ムリだよ。」
投げ出したくなる気持ちを抑えて教科書とにらめっこ。
「何してんの?」
突然の声に顔を上げる。
「津田…君?」
津田はあたしの机を見る。
「あっ、それ提出期限今日だよね。」
「…うん。」
知ってますよ。でも、間に合わないんだよ。わかんないんだよ。
「わかんないの?」
津田君の声に頷く。
「………教えてあげようか?」
「えっ!?」
ビックリするのも束の間、津田は椅子に座ってあたしと向き合う。
近いよ。声がすぐ近くで聞こえる。
津田君は教え方がすごく上手くてわかりやすかった。
でも、プリントが完成するまであたしの心臓はうるさく、潰れそうだったのは言うまでもない。