ロベタサード
倉田カヨ
俺の隣の席の柊さんはいつもゼミ室で寝ていた。
それが、最近はあまり見なくなった。
理由は簡単だ。
柊さんは生徒会に入ってしまったから。
でも、授業にはちゃんとでるようになった。
彼女なりにいろいろ考えたんだろう。
授業が終わり部活に行く用意をする。
「…倉田くん?」
「ん?」
声の主は知っている。
最近じゃ毎日のことだから。
「国語と英語、あと、地理のノート貸してもらえる?」
「どーぞ。」
柊さんにノートを手渡す。
一瞬触れた指先が微かな熱を持つ。
ありがとう、
そう言って足早に教室を後にする柊さん。
授業にでるまで進歩したけど、毎時間寝てたら意味ないよ?
心の中で呟く。
緩んだ口を締めて教室を出る。
一つ一つの動作がいちいち可愛く感じるコトは、何かの病気なのかも知れない。