はじめまして 私の大好きな幽霊さん
ひ「さて…、説明していいですか?」
し「何を?」
ひ「お幽霊さんについてです」
びしっ!
ひなたは、電信柱を指差した
ひ「まず!いまの貴方ならあの人が見えますね?」
ひなたが指をさした
電信柱には、おじさんがてっぺんに座っていた
し「わぁっ!あの人危ないじゃないか」
ひ「大丈夫です!彼はお幽霊さんですから
ほら?他のみんなは、全く反応してないですよね?」
し「ああ…本当だ…」
ひ「しかも…足がすけてますし!あの人は…何処かに無くし物をして、成仏できない鈴木さんです」
し「…知り合いかよ」
ひ「私は、見えますから
探し物の手伝いをしてたりしてます…で…問題は
あなた!!」
し「はいっ!」
ひ「お幽霊さんは、何かしら未練があり
成仏できなくさ迷う方々ばかりです
でも貴方は、記憶がなくて…目が覚めたらグランドだったと言うのは
珍しいんです」
し「そ…そうなのか…でも、俺は…気がついたら
グランドの真ん中でさ…名前くらいしかわからなくて」
しゅんとなる静にひなたは、頭を撫でながら
ひ「大丈夫です…私が記憶を探すの手伝いますし」
し「ああ…ありがとう」
彼女
以外に見えない俺は…ひなたにすがるしかなかったんだ
今思えば…あの時
運命だったのかもしれないなんて…
そんな…青春を感じていたが、現実は…むなしい だってさ、俺は幽霊なんだよ?恋愛なんか…てか
俺…まだ若いのに死んだとか
信じたくないよ…
それから俺は…
住む所もなく学校にひっそり暮らしはじめた
自分が幽霊だからかな
あんまり夜の学校が怖くない
変な話しだよな
一人かと思ったら
この学校に住んでいる幽霊はかなりいた
小さい子供から大人までかなりだ
ひ「私の仕事は…幽霊さんに幸せになってもらう事なんですよ…」
ひなたは…よくそんな事を言っていたが
俺はこの時
自分まで巻き込まれるなんて思ってもいなかった
ひ「静くぅーん!!」
夜中の学校なのに
なぜか…ひなたがいる
し「お前!なんでこんな時間にっ」
ひ「今日は待ち合わせしてるんですよ」
し「待ち合わせ?」
ひ「はい!ほら来た」
真っ暗な廊下の向こうから、ひたひたと足音が聞こえた
俺は…無意識にひなたの背中に隠れる
ひ「…あなたも幽霊さんなのに…」
し「え?…ははは…」
廊下を歩いて来たのは
中学二年くらいの男の子だった
ひ「こんばんは!春くん」
は「あ…ひなたさん
こんばんは、今日はすみません」
ひ「いいのですよ
今日は、静くんもいますよ」
は「えっえっと…」
し「おい…俺は別に関係な…」
ひなたはうるうると静を見る
し「…ひまだから付き合うよ」
この少年の名前は
小林春(こばやしはる)
おっとりしている大人しそうな男の子だった
ひ「さて…改めて
依頼の確認をしてもいいですか?」
は「はい!」
ひ「大切な人に伝えたい事があるんですよね?」
こくこくと頷く春、だが
疑問をもった静は首を横にひねった
し「おい…幽霊は、普通の奴には見えないんだろ?どうやって伝えるの?」
くるりと一回転したひなたは、事前に決めたポーズかわからないが
びしっ!と変なポーズを決めて「だからっ私達がいるのでーすっ」と、笑っていた。
静は嫌な予感しかしなかったが…仕方なく二人を見守る事にした
ひ「さて…貴方の大切な人はもう来てますよ」
は「え?そうなんですか
」
俺達は、学校の屋上に上がった
し「ねぇ…その大切な人はどうやって呼び出したんだ?」
ひ「催眠術です!」
笑顔で怖い事を言う奴だと思った
し「使えるんだね…」
ひ「はいっ!」
ひなたは、すごいだろと言わんばかりの顔でキラキラ静を見る。
静は、ひなたの頭に手をおき
ぽんぽんと撫でた
し「すごいすごい」