空に消える想い〜いつだって君をそばに感じてる〜
余命わずかな中学生の息子の結婚なんて。

親の気持ちを考えれば、信じられないことだ

よね。

「これ、写真撮ろう。」

2階に上がったはずのお父さんが降りてくる

と、その腕には純白のドレスとタキシードが

掛けられていた。

「このドレス…。」

ドレスをソファに下ろすと、お父さんの手に

は、小箱が握られていた。

望夢が小箱を受け取り、ゆっくり開けると、

小さなピンクダイヤモンドの指輪が輝いてい

た。

「お母さんの形見だ。」

お父さんは驚く私たちに構わず話し続けた。

「望夢が一生愛し続けたいと思う人に出逢え

たとき、望夢に渡してほしいと言われたん

だ。」

望夢のお母さんは望夢が2歳の頃亡くなった
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