空に消える想い〜いつだって君をそばに感じてる〜
という。お母さんは生前、望夢にこの指輪を

残したそうだ。その指輪は、望夢のお母さん

がかつて尊敬し、愛し、愛された母親からの

たった一つの贈り物だと言った。

望夢も、お姉さんも、お母さんのことは詳し

く知らなかったみたい。

「お母さんは、望夢になにもしてあげられな

かった。だからこそ最初で最後のプレゼント

を残したいと言っていたんだ。」

ぐちゃぐちゃになった望夢の顔を見るのは初

めてで、私までぐちゃぐちゃになってしまい

そうで。

「つぼみ、手だして。」

望夢の家族にとって大切な思い出が詰まった

大切な指輪を私が受け取っていいのかわから

ない。お父さんを見ると、望夢と同じ優しい

笑顔をくれた。
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