空に消える想い〜いつだって君をそばに感じてる〜
途切れ途切れになりながら、確かに私の名前

を呼んだ。ゆっくり手を握り返すと同時に、

ゆっくり目を開けた。

「望夢…。つぼみだよ?おはよ。」

病院に来るときは「おはよ」って挨拶する約

束。

「つぼみ…。お…はよ…。学校…おつかれ…

様…。」

声は弱々しく、私の手を握る力も私よりも弱

くて…。それでも、いつもの優しい笑顔で話

しかけてくれる。

なんでそんなに優しい顔をするの?一番辛い

のは望夢なのに…。

「つぼみ…。愛…してる…。ずっと…愛して

る…。」

その言葉を最後に望夢は目を閉じ、息を引き

取った。響き渡る電子音は立花先生の手で止

められ、ただ涙だけが病室に残った。
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