空に消える想い〜いつだって君をそばに感じてる〜
お母さんは、ベッドに座る私の隣に腰を下ろ

して、静かに聞いてくれる。

「望夢が私の家まで迎えに来るの。デートし

よう!っていつもの笑顔で言うの。そのまま

手を繋いでピクニックに行ったんだ。私が作

ったお弁当を美味しい美味しいっていっぱい

食べてくれたの。」

お母さんは手を握って「うんうん」と相槌を

打ってくれるだけ。

あのね、お母さん。望夢に会いたい。望夢が

病院にいるときはきっと乗り越えられるって

思ってた。でも、私ひとりじゃ乗り越えられ

ないよ。

目が覚めると、望夢のいない悲しい世界だけ

が広がっていて、美しく咲く花も、果てしな

く広がる空も、お母さんが作る美味しいご飯

も。全部が色を無くした。
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