空に消える想い〜いつだって君をそばに感じてる〜
私の生きる世界から、色が消えたの。

「怖いよ、お母さん。」

望夢のいない世界がこんなにも真っ暗だなん

て想像してなかった。というより、望夢とい

う光のそばにいて、どうしたらこんな世界を

想像できただろうか。

手が震える。足が震える。この真っ暗な世界

で何を頼りに進めばいいの?

「つぼみ、目をつむってごらん。」

お母さんの言葉に身を委ねて目を閉じた。

「ゆっくり深呼吸して。望夢くんはここにい

るよ。つぼみはひとりになんてなっていない

でしょ?心臓が動いている限り、ずっとここ

で見守ってくれているの。だから何も怖くな

いよ。」

お母さんの柔らかな手が私の胸にそっと触れ

て、心臓が動いていること確かめる。
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