空に消える想い〜いつだって君をそばに感じてる〜
そっか。望夢は私の中で生きているんだ。

ひとりじゃないんだ。真っ暗な世界に小さな

光がみえたような気がした。望夢がいなくな

って初めて流す涙は止まることなく、お母さ

んの胸で泣きじゃくった。お母さんは何も言

わずに抱きしめてくれる。

お母さんもきっと泣いていた。だけど、この

時おにいが部屋の外で涙を流しているのは、

気づかなかった。

「おはよ!」

1ヵ月ぶりに制服を着てリビングへ行くと、

お母さんとおにいはいつも通り笑って「おは

よ」って返してくれた。

靴を履いて立ち上がると、足が震える。おに

いは手をギュッと握り、

「気を付けて行ってこいよ。」

と優しく笑って送ってくれる。
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