空に消える想い〜いつだって君をそばに感じてる〜
大きな声で挨拶すると、クラスのみんなは何

も聞かずに笑って挨拶を返してくれた。

頭の中は望夢でいっぱい。事業の内容はもち

ろん、休み時間の周りの会話さえ耳に入って

こない。

「森口、ちょっといいか?」

坂本先生に呼ばれて職員室に向かう。

「もう大丈夫か?」

望夢のことだろう。大丈夫な訳がない。世界

で一番愛する人がいなくなったのだから。

先生がずっと心配していることはわかってる。

たくさん電話もくれて、お母さんと話していた

ことも知っている。

「大丈夫じゃないです。」

私の言葉に先生は切なく目を細めた。それに気

づいていたけど、話し続けた。

「でもいつまでも泣いていたら、望夢が心配し

ます。望夢に怒られます。」
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