空に消える想い〜いつだって君をそばに感じてる〜
「大澤くん。」

同じクラスの大澤ひろくんが立っていた。彼

は隣の席で、とても静かな人。クールな見た

目なのに、とてもふんわりとした話し方をす

る。そのギャップで密かに女子人気が高いら

しい。

「まだ帰らないの?」

「うん。ちょっと勉強してから帰ろうかなっ

て。」

嘘。私は静まり返った放課後の学校が好き。

望夢にプロポーズされたときと同じ。まるで

すぐ隣に望夢がいるような優しい気持ちにな

る。誓いの指輪をはめると、そこには私が大

好きな太陽みたいな笑顔があるような気がし

て。

「森口さんって好きな人いるの?」

「え?」

あの日と同じだ。望夢を好きと自覚したばか

り。教室で窓の外で桜が散った木を見ていた

とき。
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