空に消える想い〜いつだって君をそばに感じてる〜
大澤くんは心配するように私の顔を覗き込ん

だ。「望夢はいない。」なんて言えるはずも

ない。ただ黙ることしかできなかった。

「わかった。森口さんが話したくなったら、

いつでも話して。俺、待ってるから。」

どうしてこの人はこんなにも優しいんだろ

う。今は無理だけど。いつか…。

「うん。ありがとう。」

いつか、大澤くんに本当のことを話したい

な。

次の日から文化祭の準備が少しずつ始まっ

た。

「では、教室展示はメイドカフェに決まり

です。」

お化け屋敷、海賊船、お菓子の家…。たく

さんの候補の中から、多数決で決まった。

「男子は教室を少しずつ作っていくので、

女子は衣装を作っていってください。それ

から…。」
< 139 / 190 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop