空に消える想い〜いつだって君をそばに感じてる〜
「俺、あまり気にしてなかった。」

「私も。」

不思議な空気が私と大澤くんの間に流れたま

ま昼休みが終わった。

今日は実行委員の集まりがないから、いつも

のように誰もいない教室で窓の外を眺めてい

た。

「森口さん?」

「あ、大澤くん。まだ残ってたの?」

「森口さんもでしょ。」

子供っぽく笑う大澤くん。こんな風に笑った

りもするんだ。

「森口さんはいつもここで何を見てるの?」

空。雲。鳥。木。花。街並み。街灯。街行く

人々。

「この窓に映る世界を見てるの。すべてが生

きている。そう思うとなんだか、頑張ろうと

思えるの。」

望夢がいない世界を見ている。悔しくて。で

も、涙が溢れてしまわないように必死に耐え

る。
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