空に消える想い〜いつだって君をそばに感じてる〜
職員室から戻るとすぐに保健室のドアを開け

て、秋斗となるみの力で望夢を白いベッドに

寝かせた。

「望夢、熱測れる?」

私は望夢に体温計を渡してベッドに横たわる

彼の隣に腰を下ろした。

ピピ。体温計には37.6の数字が映ってい

た。

「望夢、お父さんかお母さん迎えに来れ

る?」

望夢は重そうな頭を横に振った。そして苦し

そうに口を開いた。

「母さんは死んだ。父さんは仕事でいつも帰

ってこないし。姉貴も遠くに住んでるし。」

悲しそうな、寂しそうな目で言った。

私は後ろを振り返り秋斗を見ると、知ってい

たというようにただ一度頷いた。
< 22 / 190 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop