空に消える想い〜いつだって君をそばに感じてる〜
なるみが聞くと、お父さんがゆっくり答え

た。

「先に帰ったよ。相当ショックだったんだろ

う。望夢の荷物を取りに戻るとは言っていた

が。」

お父さんは鼻を少しすすっていた。

そんなの家族が一番悲しいに決まっている。

きっとなるみも秋斗も悲しい。私だけじゃな

いのはわかっている。

それからは何の話をしたか、どうやって帰っ

たか、よく覚えていない。

気がついたら、自分の家の玄関に立ってい

た。

「おかえり…って!ずぶぬれじゃない!」

お母さんの声を聞いて、自分が濡れている

ことに気がついた。

お風呂に入ってから、お母さんとおにいと

私の3人でリビングにいた。初めに沈黙を

破ったのはおにいだった。
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