空に消える想い〜いつだって君をそばに感じてる〜
「最後なんて言わないで」とも「そうだね」

とも言えなかった。望夢の手を強く握った。

「私がいるよ」って。「1人じゃないよ」っ

て教えるように。

2人で足音をそろえて校舎に入る。

「この廊下だよ。」

「えっ?」

望夢が突然足を止めて話し始めた。

「俺がつぼみに惚れたの。つぼみ、あの時

1人で、窓の外を見てたんだ。」

私はあの日のことを思い出した。窓の向こ

うの遠くの空に虹が架かっていたの。

「ただの虹じゃんって思っていたのに、お

前、泣きながら見てんの。特別な理由があ

るのかもって思ったけど、なんかつぼみか

ら目離せなくて。それからつぼみが気にな

って気づいたらすっげぇ好きになってたん

だ。」
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