婚姻届と不埒な同棲
「そのあとだよ。可愛かったのは」

「いや、もうこれ以上は…」

そろそろ聞くのを止めておいた方がいいと、拓斗くんの表情を見た私の脳が警報を鳴らしている。

あれは私をいじめて楽しむときの顔だ。

「それから家に帰ろうと思ったんだけど、萩花、歩けなくなってて。
せっかくここホテルのバーだし、泊まろうかってなったんだ。

部屋についてベッドに寝かせたら、俺の耳元で囁くんだよ。

美琴ちゃんを見たとき、拓斗くんを取られるかと思って嫉妬したんだよ、って。

それでトロンとした目でじっと見つめられたら、男として、はい、おやすみとはならないでしょ」

「私から誘ったの!?」

信じられない。お酒はそんなに強くないから飲みすぎには注意してたはずなのに。
気を許しすぎてしまった。
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