婚姻届と不埒な同棲
「ほら、萩花さんがいてくれたから合格できたようなものでしょ?
ちゃんとお礼は言ったの?」

「お礼?なんで…」

「ほんと、拓斗はこれだから…。
そんなんじゃ女の子に相手されないんだからね」

「そうだぞ拓斗。
いくら勉強ができても男は優しさがないとな」

「余計なお世話だ」

こんな家族の会話を見ていると微笑ましくなる。
素敵な人たちだ。
この時間を共有できてとても幸せ。

「萩花さんと写真とっておきましょうよ。
ほら2人ともケーキの前に座って」

えー、と言いながら隣に座る拓斗くん。

フラッシュで眩しくなる。

これでもう勉強を教えるのは終わり。
このときは、それが寂しくもあった。
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