婚姻届と不埒な同棲
「…その、感謝してる」

え、うそ。
今、感謝してるって言った?

そんな想像もしてない言葉に、驚かずにはいられない。

「初めて父さんの力に頼らずに自分の進みたい道を決められた。
萩花が俺に付きっきりで勉強教えてくれたからだ。

ありがとう」

手のかかる子程かわいいというのが今ならよくわかる。

「どういたしまして!」

思わず抱きついた。

「うっ、わ!
ば、バカじゃねーの!

さっさと部屋戻れよ!」

焦って顔を赤くする拓斗くんは、怒って照れ隠ししているのが見え見えで、つい笑ってしまうのだった。
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