婚姻届と不埒な同棲
「はぁー、疲れた。
卒論があるってのに、どんどん仕事させられる。
力はつくとは思うけど、体が持たねーよ。

萩花、膝枕して」

帰って来て早々これだ。

ソファーにいるところを捕まった私は、そのまま拓斗くんの要望に答えざるを得なかった。

ネクタイを右手で緩め、スーツ姿のままで横になる。

仕事ができて、魅力的な飯盛拓斗はどこへやら。

「会社の女性たちが知ったら悲鳴をあげそう」

「え?会社?
何の話…」

「んーん、なんでもない」

女性たちから熱い視線を送られていることを本人は気づいているんだろうか。
もし知らないんだとしたら、調子に乗らせるのは嫌だから黙っておこう。
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