婚姻届と不埒な同棲
そういえば、日本を発つ前に最後に見た拓斗くんの顔は、とても不機嫌なものだったっけ。

なんだよそれ、急すぎるだろって言って、誰よりも怒ってた。

それがなんだか嬉しくて。

彼の出す感情には嘘がない。
だから、ずっと心に残るんだ。

今まで、拓斗くんが家の外でどう過ごしているかなんて考えたことがなかったけど、会社で見せる顔の方が彼にとっては表の顔なのかもしれない。

今私が見ている彼は、私しか見ることのできない彼だったりするのだろうか。
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