婚姻届と不埒な同棲
教え子が自分を越えていくというのは、こんな気持ちなんだ。
嬉しいような、ちょっと寂しいような。

「なによそ見してんだよ。

誰の為にやってるかわかってんの?
萩花がしょうもない嘘つくからだろ」

目がマジだ。
これ以上考え事をしてたら本気で怒られそう。

でも何よりも悩ませてくるのは、私のために拓斗くんが動いてくれているというこの空間に、愛しさを感じだしているということ。

油断したら、口を滑らせてしまいそう。
過去の出来事はすべてなかったことにして、その腕の中に飛び込んでしまいそう。

そんなの、駄目なのに。
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