婚姻届と不埒な同棲
自ら傷をえぐっていると、きんとした声が遠くから聞こえてきた。

「なんでよ、嘘つき!」

「本当に記憶にないんだよ」

喧嘩?

揉めているような男女の声。

はぁ。
誰かが沈み込んだ気持ちでいようと、世界は回るし男女は揉めるんだ。

私には関係のないこと。

さぁ、帰ろう。
まだこの時間なら電車が動いてるはず。

パーティーバッグをぷらぷらと腕にぶら下げて歩き出した。
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