Who am l ?
1. 16回目の誕生日
目を開けるとまだ終わっていない
課題のノートが目に入る。

ーあぁ。そうか、また途中で
寝たんだ。まあいっか。
明日までにやればいいんだし。

そんなことを心の中で
ぼやいてみる。

学校の用意をしようと
席を立った瞬間突然の目眩と
共に心が重くなった。

ふとカレンダーを見ると
"誕生日" と書かれている。

「今日誕生日か、どうりで
重いわけだ。」

次は口に出して言ってみる。

そうしたら、心が軽くなる
気がしたからだ。

胸を押さえながら、
リビングに向かうと
一個下の妹 乃愛が
タコさんウィンナーを
頬張っていた。

「おはよう、ってまた重いの?」

口をもぐもぐしながら言う。

「そう。誕生日だから
余計に重い。」

「あ、そっか。今日玲央の
誕生日か。忘れてた。
ごめ〜ん♪」

悪気なんてこれっぽっちも
無いような笑顔で謝られた。

気分を変えようと思い、玲央は
コーヒーの準備を始める。

作っている最中、乃愛が
ーうわ、じじくさ。
と一言、言い残して
制服に着替えに行った。

出来たてのコーヒーを
飲みながらテーブルの上に
置いてあった朝食を眺める。

そばに添えてあった
メモには " とりあえず、
玲央は朝食を抜くな。乃愛は
人参を残さないように!
父と母より"
と書かれていた。

乃愛の皿を見ると、人参が
綺麗に残されていた。

ー可哀想な人参。

そう思いながらコーヒーを
飲み干し自分も学校の用意を
しようと席を立ったその時、
「ヴッ。」

突然、激しい胸の痛みが
玲央を襲う。

あまりの痛さにしゃがみこんで
いると、着替え終わった乃愛が
「どうしたの?!」
と、駆け寄ってくる。

「鎮痛剤取ってくるから、
ちょっと我慢してて!!」

乃愛は薬を取りに玲央の
部屋へ向かった。

だが、机の中や鞄の中を見ても
見つかる気配すらしない。

「玲央のやつ!どこに
入れてんの?!」

ブツブツ言いながら、
薬を探す。

制服のポケットを漁ると、
小さい錠剤入れが出てきた。

それを持って急いで
階段を降りる。

そして、水が入ったコップと
共に薬を渡した。

玲央は錠剤を口の中に
入れると、コップの中に
入った水を全て飲みきった。

しばらくして、鎮痛剤が
効いてきたのか痛みが
引いてきたようだ。

「玲央、一応今日は学校
休んだ方がいいんじゃない?」

乃愛は心配そうに言う。

それを見て、玲央は乃愛の
セットしたばかりの髪を
ぐちゃぐちゃにしながら
笑顔で言い返した。

「平気だって。ってか、今日
休んだらまじで留年回避
不可能。」

大丈夫と自分に言い聞かせ
ながら玲央は2階に上がって、
学校の用意を始めた。

薬の残りを確認していると、
乃愛が "先に行くね!"
と言って勢いよくドアを閉めた。

「あいつ、ドア壊す気かよ。」

と、思わず苦笑い。

そして、時計を見ると
「やっば、あと30分でHR始まる
じゃん…。」
既に8時を過ぎていた…。






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