チョコレート戦線
届けバレンタイン
とうとう、バレンタイン前日。

バレンタインの日は、その翌日が高校入試なので午前で終わる。

帰宅した私は、友チョコと家族用にチョコチップ入りのパウンドケーキを2本焼いて切っている。

切ったパウンドケーキは、可愛らしいビニールの包装に入れてモール針金で封をする。

いつに無く良い仕上がりになった、パウンドケーキを1切れ齧りながらの作業。

そこに

「紗奈、それ明日用?」

そう聞いてきたのは三つ歳上の兄。

「そう、明日はバレンタインだからね」

手元に集中しながら答えると

「紗奈、明日じゃなくていいから今くれ!腹減った」

そう言うので

「しょうがないな、ほらコレ食べていいから!」

そう言ってまずは、避けていたトリュフを兄の口に放り込む。
< 8 / 16 >

この作品をシェア

pagetop