『俺様御曹司の悩殺プロポーズ』の文庫に入れられなかった番外編
これからもずっと
◇◇◇
涼さんと結婚して数ヶ月が過ぎた6月某日。
梅雨入りした東京はムシムシじめじめして、北海道生まれの私にはつらい季節の到来だ。
今日は日曜日。
平日のお昼の情報バラエティーのレギュラーをやっている私はいつもなら休みなのだけど、今日は急遽仕事が入ったので出社した。
その仕事とは毎週木曜7時から放送のクイズ番組の司会。
いつも司会の先輩女子アナさんが虫垂炎で入院してしまったため、代役として一回分だけ私に仕事が回されたのだ。
昨日の夜に自宅にいた時に電話が掛かってきて頼まれたのだけど、二つ返事で引き受けて心でヤッター!と叫んでいた。
理由は、そのクイズ番組が人気男性アイドルグループ『タイフーン』の番組だから。
ゲーム要素を組み合わせたエンターテイメント性が強いクイズ番組で、子供からお年寄りまで人気が高くこれまで高視聴率を保ってきた。
実は私は、タイフーンの密かなファンだったりする。
ライブには行ったことがなくグッズも買わないけど、彼らの出演番組は録画して一人で楽しんでいる。
だから昨夜電話を切った後、浮かれてつい涼さんに抱きついてしまった。
『明日お仕事入りました!あのタイフーンのクイズ番組の司会です!
5人とも、すっごいカッコイイですよね!
どうしよう!生タイフーンだ!嬉しくて今夜は眠れないかも‼︎』
涼さんの首に回した腕は、すぐに解かれてしまった。
ハイテンションの私に返ってきたのは、『あっそ』という冷たい反応だけ。