『俺様御曹司の悩殺プロポーズ』の文庫に入れられなかった番外編



「長丁場の収録後もお仕事とは、さすがは暮間さん。お忙しいところ、急に押しかけてすみませんでした。

またどこかでご一緒できることを願っております。では、失礼いたします」



早口でそう言って、涼さんは私の腕を引っ張り外に出す。

そして一礼してから楽屋のドアをパタンと閉めた。



涼さんに連れられて歩き出す。

「あの……」と話しかけても、涼さんは何も答えてくれない。


長い廊下をイケメン達は無言で進み、角を曲がった所でようやく足を止めた。



さっきの状況をまだよく理解していない私がキョトンとしていると、

涼さんの右手が私の後頭部を押し下げ、強制的にお辞儀をさせられた。


彼も隣で一緒に頭を下げている。



「大栗さん、東島さん、無理なお願いをして申し訳ありませんでした。ありがとうございます。

ほら小春、お前もお礼を言いなさい。
このお二人はお前を助けてくれたんだぞ?」



助けてくれた……?

あ、そっか! そうだったのか!


やっと気付いたおバカなこの頭。

突然彼らが暮間さんの楽屋に入ってきたのは、こういうこと。


私がヘマして謝罪に行ったことを、スタッフさんの誰かが気を利かせて涼さんに知らせてくれたのだろう。


涼さんはその時番組で一緒に出演していた俳優さんの二人に協力を願い出て、私の救出に参戦してもらったということだ。


涼さんもイケメンだけど、このお二人はまた別のタイプのイケメン。


暮間さんだって女だから、三種三様のイケメン達に攻められては私を解放するしかなかった。

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