『俺様御曹司の悩殺プロポーズ』の文庫に入れられなかった番外編



超人気国民的アイドルなのに偉そうな素振りは一切なく、にこやかに挨拶してくれたタイフーンの5人。

白い歯がキラリと光ってなんとも素敵だった。


いつもの私なら興奮して舞い上がってしまいそうだけど、頭には不機嫌な顔をした涼さんの顔が離れない。



「こちらこそ至らぬ点が多々あると思いますが、精一杯司会の代役を務めたいと思います。よろしくお願いいたします」



深々と頭を下げ、心でため息をついていた。


それからすぐに収録が始まった。

一番広い3番スタジオにババーンと観覧席がつくられて、一般の若い女の子たちを入れている。


私がいつも出演している昼からの情報バラエティーも客入れの番組だけど、年齢層と人数が全然違う。


あっちは中高年女性が20人ほどで、こっちは10代から20代前半の若い女の子が100人ほど。


拍手と黄色い歓声が飛び交う熱い収録は初体験で、いつもとは違う緊張感を味わっていた。


緊張するのはそれだけじゃなく、タイフーンの他にも有名な出演者が大勢いるせい。


スポーツ選手やバラエティーアイドルの女の子、現役弁護士で芸能活動をしている男性に、喋るゆるキャラもいる。


そして誰より気を配らなくてはならない人も……。


桜テレビで毎週日曜日に放送中の刑事ドラマの出演者が4人来ていて、主役の大物女優、暮間泉(クレマ イズミ)さん45歳も出演することになっていた。


出演者の中で一番後から暮間さんがスタジオに入ってきた。


スタッフさん達もタイフーンの5人も、お客さん以外のスタジオ内にいる全員に緊張が走るのが伝わってきた。

< 3 / 30 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop