『俺様御曹司の悩殺プロポーズ』の文庫に入れられなかった番外編
私の周りを2周してから暮間さんは正面で足を止め、こう言った。
「本当に申し訳ないと思っているの?」
「は、はい、もちろんです!」
「そう思うのなら、どうして私と同じ目線でいるのかしら?」
「え……?」
「頭の悪い子ね。頭が高いと言っているのよ。ボサッと立っていないで土下座しなさい。
私の足元で額を床に擦り付けて詫びなさい。
それが謝罪の姿勢と言うものでしょう?」
土下座……。
私のプライドなんてちっぽけなもの。
屈辱的ではあるけれど、それで許してもらえるならと言う気持ちになっていた。
言われた通り冷たい床に膝をつき、両手を前に揃えて床に額をつけた。
「暮間さん、本当に申し訳ありませんでした!」
そう言った時、コンコンとドアがノックされる音を聞いた。
ドア横に控えていた彼女のマネージャーが、ドアを少しだけ開けて応対に出ている。
廊下側の人がぼそぼそと小声で何かを話し、マネージャーが「少々お待ちください」と答えていた。
「暮間さん、お客様が……」
「番組スタッフの謝罪なら後にして。私は今気分が悪いの」
「あ、あの、スタッフさんではなく風原涼アナウンサーと、俳優の大栗旬さん、東島秀俊さんがいらしています。
暮間さんのお誕生日のお祝いを、是非言わせて欲しいと……」
「えっ⁉︎」
暮間さんの驚きの声と同時に、私も「へ⁉︎」と声を上げていた。
大栗旬さんと東島秀俊さんと言えば、ドラマや映画に引っ張り凧の超売れっ子俳優さん。
その二人と涼さんが、ここに?
誕生日のお祝いって……え?
状況を上手く理解できないんだけど……。