『俺様御曹司の悩殺プロポーズ』の文庫に入れられなかった番外編
土下座の姿勢から少し頭を上げて、首を捻って斜め後ろのドアを見ていた。
入っていいと言われていないのに、少し開いたドアを強引に押し開けて入ってきたのは、濃紺のスーツ姿の涼さん。
その後ろに、テレビでよく見る有名イケメン俳優の二人も続く。
涼さんの手にはラッピングされたプレゼントらしき箱が抱えられていて、俳優さん達はバラの花束を持っていた。
三人は戸惑う暮間さんを笑顔で取り囲み、涼さんが話し出す。
「暮間泉さん、お久しぶりです。
二年前の特番でご一緒して以来ですね。ご無沙汰しておりました」
「え、ええ……」
「突然押しかけて申し訳ありません。
今日はちょうど私も仕事で、別のスタジオの収録を終えたばかり。
戻って来たときにこの部屋にあなたのお名前を見つけまして、歓喜した次第です」
「は、はぁ……」
「一緒に収録していた俳優の大栗さんと東島さんにも声をお掛けしたところ、大女優の暮間さんに是非ご挨拶したいということで、こうして三人で参上しました」
「そ、そうなの……」
どこの現場でも偉そうだと言われている暮間さんが、今はたじたじになっていた。
背の高いイケメン三人に囲まれて、完全に迫力負けしている感じだ。