寡黙な御曹司は密かに溺愛している
二人がけの席に通されるも周りは、若い学生さんたちや小さな子どもを連れたママさんばかりで、私たちはかなり浮いている。
特に、課長。

スーツ姿のイケメンが来る場所では明らかにないし、やっぱり周りも騒然としていた。

「か、課長、予約取られてたんですか?」

メニューを見るフリをして、コソッと課長に尋ねた。

「たまたまキャンセルがあったと連絡をもらったからそこに入れてもらっただけだ」

そう話し、しれっとまたメニューに目をやる課長を見てピンときた。
そっか、そういうことだったんだ。

突然のガールズ事業部への異動、カフェへの調査、そして、極め付けがキャンセル待ちからの予約。

「……なんだ、人の顔をジッと見て」

私がメニューを見つめているフリをして、ジッと課長を見ていることに気がついたらしい。
課長は少しムッとしたような表情で私を見た。

「……課長って、ほわっとニャンが好きなんですね?」

「はあ?」
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