寡黙な御曹司は密かに溺愛している
「あんたのその考えもすごいわ。まあいい加減、うるさいからなんとかしてほしいけどね」

「ちょっと出てくる」そう言って美嘉は立ち上がり、部署を出て行った。
美嘉はああいう媚びる女が嫌いだと、よく言っていたから見るに耐えなくなってきたのかも。

でも確かに賞賛とか数打ちゃとか言ったけれど、周りの迷惑は考えてほしいな。
そんなことを思うのは、たまたま目に入った人たちの困り顔。

秘書課の人たちの声で、課長席の近くの人たちは、電話聞き取りにくそうだし、課長に話しかけに行こうとしてる人も行きづらそう。

なんだかその人たちのことを思うと、急に何も言わない課長に腹が立ってきた。

「なんとかしろー！」と念を込めて課長に視線を送ってみた。
するとまさか気づくわけもないと思ったのに課長と視線が重なった。

どうしよう。
まさか目が合うなんて思わなかった。
でも、これはチャンスだ。


なんとかして迷惑している人たちがいると伝えようとパクパクと口パクで伝えてみた。
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