寡黙な御曹司は密かに溺愛している
気持ちを切り替えて、企画書に向かっていると、静かすぎるからかいつもは聞こえない足音が聞こえる。

誰か忘れ物でもしたのかなと、視線をやると
ドアを開けて課長が入ってきた。

「……なんだ、まだ残っていたのか」


「あっ、お疲れ様です。すみません、企画書まだ上がらなくて。でも、もう帰ります。また企画書週明けでも大丈夫ですか?」

「ああ、構わない」

「ありがとうございます。帰り支度しますね」

課長と会話を交わし、すぐにパソコンの電源をオフにする。
企画書、週明けでいいって言ってもらえて良かった。

どうせこれ以上いても、企画書は上がらないだろうし、お腹も空いてきたからちょうど終わるのにいいタイミングだった。

今日は何を食べようかな。

そんなことを思いながら帰り支度をしていると、さっきまでドア付近にいた課長が、私の後ろに移動してきたらしく、ポンと私の肩を叩いた。

「ど、どうしたんですか?びっくりしましたよ」

「良かったら、飯でも食いに行かないか?」

驚いて振り返ると、まさかの課長からのお誘い。

どうしようと一瞬、ためらったもののなんとなく断るのも失礼だと思い、「はい」と頷いた。
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