寡黙な御曹司は密かに溺愛している

「またまた、照れなさんなって。あっ、エレベーター来たから行くね」

「おう、頑張ってきてね、また飲みに行こう」

「うん、行こう行こう。じゃあね」

エレベーターが来たので美嘉とはお別れ。

それにしても美嘉ってば、隠せると思ったのかな？あんなに真っ赤な顔をして。

美嘉の持っていた栄養ドリンクは、あの様子からすると、他部署で仲良しの後輩である前野くんに渡すものだろう。



『あの子、頼りないのよね』

飲みに行った時に美嘉がそう言ってたけど、あれは愛情の裏返しなはず。


美嘉が無事に前野くんに、栄養ドリンクを渡せますようにと心の中で祈り、エレベーターを降りた私は、カフェへと向かった。