寡黙な御曹司は密かに溺愛している
ほわっとニャンカフェは、会社から電車と地下鉄を乗り継いで三十分のところにある商業施設にあるプロモーションカフェで行われる。

七十分の交代制で事前予約はほぼ満席。
改めてほわっとニャン人気を再確認した。

「おはようございます。今日はよろしくお願いします」

カフェに着き、挨拶をして中に入ると、アルバイトの店員さんたちが接客の練習中。
キッチンに目をやるとこちらもバタバタと準備に大忙しだった。

「あっ秋月さん。いいところに、ちょっといい?」

店の中はほわっとニャンの飾り付けでいっぱい。
可愛くて癒されるなと和んでいると、このプロモーションカフェの担当、大宮さんに声を掛けられた。

「大宮さん、おはようございます。どうしたんですか?」

長い髪を一つに束ねて、パンツスーツを身に纏う私より三つ上の二十八歳の大宮さん。

彼女はこのプロモーションカフェを手掛ける企業に勤めていて、このカフェを一緒に手がけてきた頼もしい仲間。

そんな大宮さんが珍しく困り顔。
どういうことなんだろうと尋ねると、途端に彼女は私の前で両手を合わせてお願いごとをする仕草を見せた。
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