寡黙な御曹司は密かに溺愛している

「……お願い！ほわっとニャンに入ってくれない？」

いきなり何を言い出すのかと思ったら、いきなり何の説明もなく、ほわっとニャンに入ってほしい？突然すぎて理解不能のお願いに私は困惑した。

「えっ？ど、どういうことですか？」

私の問いかけに、大宮さんは「それもそうね」と照れ笑いを浮かべた後、ことの経緯と理由を話し始めた。

「実はね、着ぐるみのほわっとニャンに入るはずだったバイトの子が急に風邪を引いて来られなくなったの」

「あらら、風邪ですか」

「そうなのよ。流行り風邪ではないらしいんだけど、熱もあるみたいで。急に寒くなったものね」

「早く良くなるといいですね」

確かにここ数日でめっきり寒くなった。

十一月に入ってすぐだからかもしれないけれど、少し前まではショートコートでもまだ寒さを凌げたのに、今はもうマフラーや手袋まで必需品。

季節の変わり目ということもあって、風邪を引く人は多いと思う。

そんなことを考えながら、ふむふむと話を聞いていると、食いついたかと待ってましたとばかりにギラついた瞳の大宮さん